今日の症例(足指を同じ箇所をぶつけてしまう時の対処法)
80代 男性(第1足趾 皮膚潰瘍)
自宅で足をぶつけてしまい左母趾に傷ができた。
持病に糖尿病があるため(内服薬で治療中),壊死が心配になりクリニックを受診した。
ハイドロコロイド包帯アドバンス®を1日1回交換し一時的には上皮化はするが,
同じ箇所を何度もぶつけてしまい,傷が繰り返しでき痛くて歩けないと相談があった。
(足背の動脈は触れるため,循環障害はなし)。

傷ができてはハイドロコロイドを貼って治している足の指。

ぶつかる部分にハイドロコロイド包帯アドバンス®を2枚重ねて貼る。

自然に剥がれるまで貼り続けていただく。
当たってもクッション効果で痛みがなく,数日間貼っていても痒みはないとのこと。
このまま入浴ができるのもいいと言っていただいた。
万が一傷ができたとしても,ハイドロコロイド包帯アドバンス®を貼っていると剥がれた頃には自然と治っているので安心。
基本は毎日交換した方が皮膚のトラブルは少ないが,御高齢の方の皮膚は薄いため頻繁に交換するとテープによる皮膚剥離
をおこしてしまう。そのため剥がれるまでそのままか,ハイドロコロイドに水分を含ませてゲル化させて剥がすと良い。
また,年齢を重ねると新陳代謝が下がり,汗や皮脂の分泌がしにくいため,貼り続けていても皮膚のトラブル(赤み,痒みなど)
は少ない。
自宅で足をぶつけてしまい左母趾に傷ができた。
持病に糖尿病があるため(内服薬で治療中),壊死が心配になりクリニックを受診した。
ハイドロコロイド包帯アドバンス®を1日1回交換し一時的には上皮化はするが,
同じ箇所を何度もぶつけてしまい,傷が繰り返しでき痛くて歩けないと相談があった。
(足背の動脈は触れるため,循環障害はなし)。

傷ができてはハイドロコロイドを貼って治している足の指。

ぶつかる部分にハイドロコロイド包帯アドバンス®を2枚重ねて貼る。

自然に剥がれるまで貼り続けていただく。
当たってもクッション効果で痛みがなく,数日間貼っていても痒みはないとのこと。
このまま入浴ができるのもいいと言っていただいた。
万が一傷ができたとしても,ハイドロコロイド包帯アドバンス®を貼っていると剥がれた頃には自然と治っているので安心。
基本は毎日交換した方が皮膚のトラブルは少ないが,御高齢の方の皮膚は薄いため頻繁に交換するとテープによる皮膚剥離
をおこしてしまう。そのため剥がれるまでそのままか,ハイドロコロイドに水分を含ませてゲル化させて剥がすと良い。
また,年齢を重ねると新陳代謝が下がり,汗や皮脂の分泌がしにくいため,貼り続けていても皮膚のトラブル(赤み,痒みなど)
は少ない。
1人でも交換ができるズイコウパッドの処置(手指)
34歳 女性(左1指 2指 3指 4指のⅢ度熱傷)
業務用のシーラで指を挟んでしまい,救急搬送され大学病院に入院していた。
主治医より手首での切断が必要と言われ,患者さんが勤務する職場の方が
知り合いの先生(なつい式湿潤療法を行っている医師)に相談し,当クリニック紹介の運びとなった。
受診時,1~4指にかけて指の骨が露出し一部が黒く壊死していたが,
壊死した骨を切除しながら現在も治療を行っている。
(※症例写真は衝撃を受ける方もいますので掲載しません)。
治療材料はズイコウパッドを使用。
パッドを交換してくれる人はいないとのことだったので,自分で交換できる方法は何かないと考え,
ステープラー(ホッチキス)を使用してみる。

ズイコウパッドを中表にして3辺をステープラーでとめる。

内側(白い面)にワセリンを塗り込み,ヤケドの部分(左手)を入れる。
手首の部分は角(点線部分)を折り曲げてテープで止める。
(手首をしっかり固定しておくと抜けることがない)。

その上から先端を結んだチューブネットを被せて固定する。
現在,クリニックを受診されて3ヶ月程度経つが,自分で交換して手間がかかることはないとのこと。
業務用のシーラで指を挟んでしまい,救急搬送され大学病院に入院していた。
主治医より手首での切断が必要と言われ,患者さんが勤務する職場の方が
知り合いの先生(なつい式湿潤療法を行っている医師)に相談し,当クリニック紹介の運びとなった。
受診時,1~4指にかけて指の骨が露出し一部が黒く壊死していたが,
壊死した骨を切除しながら現在も治療を行っている。
(※症例写真は衝撃を受ける方もいますので掲載しません)。
治療材料はズイコウパッドを使用。
パッドを交換してくれる人はいないとのことだったので,自分で交換できる方法は何かないと考え,
ステープラー(ホッチキス)を使用してみる。

ズイコウパッドを中表にして3辺をステープラーでとめる。

内側(白い面)にワセリンを塗り込み,ヤケドの部分(左手)を入れる。
手首の部分は角(点線部分)を折り曲げてテープで止める。
(手首をしっかり固定しておくと抜けることがない)。

その上から先端を結んだチューブネットを被せて固定する。
現在,クリニックを受診されて3ヶ月程度経つが,自分で交換して手間がかかることはないとのこと。
予想だにしなかったことで起こる指尖部壊死
なついキズとやけどのクリニックを開業してから,テープ固定によって指先が壊死した患者さんが2人いました。
1人は9ヶ月の男児で,絆創膏をきつく巻いてしまったために血流が悪くなり,指先の皮膚が壊死してしまった患者さん。
9ヶ月男児 キズパワーパッドをきつく巻いたことによる指尖部壊死 (新しい創傷治療より)
もう1人は1歳の女児で,ドアに指を挟んでしまい爪が剥がれてきたため近医を受診したところ,
「新しい爪が生えているから大丈夫」といわれ絆創膏で保護をして様子を見ていました。
しかし,自分で何回か剥がしてしまうため,取れないようにしっかりと固定して数日後に剥がしたところ,
指先が壊死してしまったことに気が付いたという患者さんです。
このような壊死は子供に限ったことか言えばそうでなく,大人でも同様なことが起こっています。
67歳女性 輪ゴムでの止血による指尖部壊死(新しい創傷治療より)
なぜこのようなことが起こるか考えると,本人が思っている以上にテープを引っ張り気味に貼っているということ,
又,止血法に対する誤った認識があるためではないかと思います。
自分でテープを貼る時は,グルグルと巻きながら固定する方が多くいますが,強く巻きすぎると痛くなったり,
ビリビリとしびれてきます。その時,大人は自分で異常を察して傷口を確認し固定を仕直しますが,
子供は「きつい」や「痛い」などの表現ができないため家族も気が付かないことが多く,
長時間血流の途絶えた状態になるために壊死してしまうのです。
止血法に関してですが,まず,止血法には大まかに,直接圧迫法(出血した部分を直接圧迫する)と
止血帯法(三角巾やタオルを出血した箇所より心臓に近い部分を三角巾やタオルで結ぶ,30分に一度は緩めて
血流の再開を図る)があります。
圧迫止血をしても止まらない時は,止血帯法を行うように指導されていますが,
実際には,多くの患者さんは患部の周辺を縛って病院を受診されます。
それは縛ることで一時的に出血が止まるので精神的に落ち着くことと,誤った認識のせいではないかと思います。
大きな血管に達しない限りは止血帯法は必要なく,患部に食品用ラップを当て,
その上から清潔なハンカチやタオルなどを載せて患部を圧迫し,心臓より患部を高くする方法で
出血は落ち着いてきますので,むやみに傷口の近くを縛らないほうがいいでしょう。
指尖部の壊死を予防するための3点
・固定テープや包帯などはできるだけ引っ張らずに添わせるように貼る又は巻く。
・必ず1日1回は交換して傷口の状態を確認をする。
・自分で判断できない時は,直ぐに病院に問い合わせて対応を聞く又は医療機関を受診する。
熱傷 受傷当日の痛みの対処法。
今日の症例(きつめのパンツによる傷口の悪化)
41歳 女性(右大腿部Ⅱ度熱傷)
天ぷらの鍋をひっくり返し,右太ももにヤケドを負った。
近医を受診して軟膏(リンデロン軟膏)を処方されたが,不安になりネットで検索して当院を受診された。

〈受傷2日目〉
水ぶくれ(水疱膜)を形成していた。当初からこの部分は深くなるのではないかと思っていた。
水ぶくれを破き,ズイコウパッドで治療を開始する。

〈受傷9日目〉

〈受傷11日目〉
前日(受傷10日目)に,きつめのジーンズを履いて長時間歩いた後に痛みが出てきたとのことで受診。
ズイコウパッドは継続し,抗生剤処方にて様子を見る。

〈受傷23日目〉
一部線状に壊死組織が残った。
ジーパンの折ジワに合わせてより深くなったのかな?と感じた写真。

〈受傷30日目〉
血流が良好な組織(肉芽組織)が出て,平坦になってきた。
その後は徐々に上皮化が進み,現在はハイドロコロイド包帯アドバンスで治療を継続している。
※足のヤケドでは,きつめのパンツを履くと痛みが出てきたり(2名ほど),この方のように一部圧迫された部分の創面が深くなることがある。今後も同じようなヤケドの患者さんを注意して観察していこうと思う。
天ぷらの鍋をひっくり返し,右太ももにヤケドを負った。
近医を受診して軟膏(リンデロン軟膏)を処方されたが,不安になりネットで検索して当院を受診された。

〈受傷2日目〉
水ぶくれ(水疱膜)を形成していた。当初からこの部分は深くなるのではないかと思っていた。
水ぶくれを破き,ズイコウパッドで治療を開始する。

〈受傷9日目〉

〈受傷11日目〉
前日(受傷10日目)に,きつめのジーンズを履いて長時間歩いた後に痛みが出てきたとのことで受診。
ズイコウパッドは継続し,抗生剤処方にて様子を見る。

〈受傷23日目〉
一部線状に壊死組織が残った。
ジーパンの折ジワに合わせてより深くなったのかな?と感じた写真。

〈受傷30日目〉
血流が良好な組織(肉芽組織)が出て,平坦になってきた。
その後は徐々に上皮化が進み,現在はハイドロコロイド包帯アドバンスで治療を継続している。
※足のヤケドでは,きつめのパンツを履くと痛みが出てきたり(2名ほど),この方のように一部圧迫された部分の創面が深くなることがある。今後も同じようなヤケドの患者さんを注意して観察していこうと思う。