共存するという考え


クリニックには擦り傷,切り傷,火傷の患者さんが受診されますが,
なかには傷がなかなか治らない方もいらっしゃいます。

床ずれや慢性的な潰瘍の患者さんなどです。

創傷の治癒は全身状態が関与するため,床ずれの原因となる老衰や脊椎損傷が治らなければ,
再度,床ずれができますし,末梢の血流が改善しなければ,潰瘍の治癒も見込めません。

創治癒を妨げている原因を治せないからです。

他院では,皮膚移植や切断の方向に話が進み,不安になった患者さんがクリニックに来院されますが,
夏井先生は生命に危険がある状況以外は上記のことを説明し,キズとの共存を提案します。

そうすると患者さんは,「どの先生もそんなことは言ってくれなかった,気持ちが楽になりました」と言って帰っていきます。

出来てしまった傷は治さなければいけないと説明され,毎回治療してもまた同じように傷ができてしまうことで
精神的に追い詰められてしまうのです。

傷を治すことを目標にすると治るまで傷にしか目を向けられませんが,
人生を楽しんで過ごすことを目標にすると,傷があってもコンサートや旅行など
自身や周囲の喜びの為に日々を送ることができます。
実際,先生から傷と共存するという話を聞き,明るく過ごされている患者さんを何人も見てきました。

様々な病気を含めて考えるととても難しい問題ですが,創傷でいうと傷と共存するという選択を与えることが,
患者さんの人生の彩りにつながっていくと実感しています。

2018-09-12 : その他 : コメント : 0 :
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プロフィール

moisttherapy

Author:moisttherapy
湿潤治療に魅了されて数十年。
病院に来た患者さんや家族を笑顔にしてお帰したい,そんな思いで今も治療にあたっています。日々,患者さんに教えていただくことを綴っていきたいと思います。

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