高齢者医療とは?の視点に立った褥瘡治療

褥瘡学会が設立された頃(1988年頃)に病棟に勤めていた私は,褥瘡の担当を任されました。
褥瘡を作るのは看護師の恥だと言われていた時代,褥瘡をつくってしまったということに責任を感じ,
チームスタッフと一緒に医学書を読んでは手探りで治療していました。
しかし,一向に変化がないまま患者さんが退院されたり,亡くなったりしたため,
褥瘡治療に関しては,改善する,創面が閉じるという実感がないまま治療にあたっていたように思います。

しかし,2003年に夏井先生が相澤病院に赴任して褥瘡の治療がガラッと変わりました。
鳥谷部俊一先生の推奨する「褥瘡のラップ療法」を褥瘡治療に取り入れたのです。
その治療は次元の違うものでした。
それまでは,ほぼ褥瘡と薬剤にしか視点がいっていませんでしたが,
鳥谷部先生の褥瘡治療は高齢者医療とは何か?といった観点に立ったもので,しかも簡潔明瞭な治療でした。

・軟膏はワセリンのみで迷うことなし,しかも褥瘡の創面が観察しやすい。
・おむつ交換の合間に処置が行えるため手間もかからない。
・市販購入できるもので治療材料が作れる,しかも安価。
・病院に入院してから在宅に移行するまで治療が一貫している。
感染の判断を誤らなければ専門家でなくても処置が行えるこの治療は,これからの高齢化社会には必要不可欠であると
その時に感じました。

褥瘡のラップ療法に関しては詳しくは下記をご参照下さい。
顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」


褥瘡ができるのは看護師,介護者の責任ではなく,老衰でできるもの(一部,脊髄損傷などは除く)。
褥瘡ができたら褥瘡のラップ治療を取り入れる。
患者さんの全身状態が良ければ治るが,全身状態によっては治らないことがある。
治らなくても褥瘡と共存していけばいい。
このように高齢化医療とは?の角度から褥瘡治療を見直しその概念が変わっていくと,介護する方,される方の
双方の負担が軽くなります。
今こそ,様々な医学の領域でも高齢化医療についての本質的な議論をすべきだと思います。

2020-02-14 : その他 : コメント : 0 :
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moisttherapy

Author:moisttherapy
湿潤治療に魅了されて数十年。
病院に来た患者さんや家族を笑顔にしてお帰したい,そんな思いで今も治療にあたっています。日々,患者さんに教えていただくことを綴っていきたいと思います。

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