看護師としてのジレンマ

先日,知的発達障害の施設で働いている方々を対象とした研究会で講演を行う機会をいただきました。

知的障害施設は医師の在住がないため,何かあった時には全て看護師が自分で判断して対処しなければなりません。
そのため,参加された方々はとても熱心に勉強され,現場でいろいろと工夫されている様子を伺い感動しました。

講演終了後,湿潤治療を行いたいと思っていても近くの病院を受診すると軟膏(創の治癒にとって必要のない)を処方されてしまう。そのような状況で湿潤治療を行うにはどうしたら良いのでしょうか?との質問がありました。

私は,自分が周囲の方々を味方にしていきながら徐々に湿潤治療が行える環境を作っていくと良いですねと返答しました。

このような答えしかお伝えできないのは,看護師には医療行為に対する裁量権がないためです。

アメリカなどでは,看護師は公的な資格のもと医師の指示がなくても一定の診療や治療を行うことができる制度があるようですが,日本の制度では看護師は医師の指示のもと診療の補助を行うということが法に定められています。

チーム医療が構築されている病院などはコメディカルの意見が反映され患者さんのための医療が提供されていますが,
そのような機関はまだ少数であり,その他の多くは看護師の行える最大限のことを考えてぎりぎりのところでケアをおこなっているのが現状です。

それぞれの立場(医師・看護師・薬剤師など)の発言が尊重され,有資格者が行える医療行為の幅が広がっていくと,より患者さんのための医療に繋がっていくと思います。
今後,そのような医療体制が整っていくことを切に願います。

2018-07-09 : その他 : コメント : 3 :
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No title
おはようございます。
手首に猫の咬傷で光が丘病院時代に夏井先生に受診(ブログに画像アップもしていただきました)、1年程前に貴クリニックでもお世話になっている者です。(その後、お元気でいらっしゃいますか)
さて、今回のブログを拝見し、20年程前に当時の厚生労働大臣坂口力氏の新聞投稿記事を思い出しました。

医師免許取得すぐ、赴任先の地方診療所で「医者になったぞ」と肩肘張っていた頃(こんな記述だったと思います)のこと。ある夏の日、「子供の耳に虫が入ってしまった」と母親が駆け込んできたときのこと(地方診療所は何でも屋状態)、当時の若い坂口医師はピンセットで虫を掴もうと試みるも、悪いことに虫はどんどん耳の奥に入ってしまう。子供は泣きやまず、坂口医師が窮していると、日頃は寡黙なベテラン看護婦(当時の記述は「看護婦」だったと思います)」が「部屋を暗くして耳元で明かりをつけてみては」と助言。言われたとおり試みると、すぐに虫はスーっと子供の耳から「脱出」、一件落着。このエピソードに続き、坂口氏は「医療において、医師が一番偉いと思っていた自分が、この日の出来事によって、医療は医師だけでなく、現場の看護師の知恵と尽力によって成り立っていると、教えられた」(こんな記載だったと思います)と述べていました。

忸怩たる思いで日々患者と接している看護師の方も大勢いらっしゃるのですね・・

また、いづれクリニックでお目にかかります。
2018-08-04 06:43 : ぴ URL : 編集
Re: No title
ぴ様

ぴ様の文面に私自身が励まされました。
コメントありがとうございます。

そうなんです。
患者さんや家族を思って奮闘されている看護師の方が圧倒的に多いので,
その思いがもっとスムースに届けばいいなといつも思います。

クリニックには気軽に受診していただいて構いませんが,
今度は猫に噛まれないように気をつけて下さい(笑)。

2018-08-06 16:43 : moisttherapy URL : 編集
No title
返信をありがとうございます。
この坂口氏の投稿内容は当方今だに明瞭に覚えています。
夏井先生が素晴らしい医師であることは誰しも疑いようがありませんが、血の通った手足のような看護師の方あって日々の診療が存続していて、長期に渡っての治療提供は有能な先生であっても単独ではなかなか難しいことと思います。
診察の物理的な場所は変われど、いつものお二方に処置をしていただけることに当方感謝をしております。(門前仲町は面白そうですし笑・・)
2018-08-07 06:18 : ぴ URL : 編集
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プロフィール

moisttherapy

Author:moisttherapy
湿潤治療に魅了されて数十年。
病院に来た患者さんや家族を笑顔にしてお帰したい,そんな思いで今も治療にあたっています。日々,患者さんに教えていただくことを綴っていきたいと思います。

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